勧善懲悪のヒーロー達


昭和30−40年代は子供たちの憧れとして勧善懲悪のヒーロー達が登場した時代でした。

私の記憶の範囲内で一番古いヒーローはサンダーバードのヒーロー達でした。普段は南海のリゾート地で遊んでいていざ事があると秘密基地からサンダーバードの秘密兵器たちが飛び立っていきます。私の大好きだったのはサンダーバード2号で、ドラム缶を半分に割ったようなコンテナの中に格納されている小型潜水艇4号や地底探索機モグラーは子供心をくすぐり私にとってのプラモデル第一号になりました。サンダーバードのプラモデルのさし絵は圧巻で当時軍艦や戦闘機のプラモデルのさし絵にもなっていました。作家の名前は忘れてしまいましたがその道では有名な方のようです。

Fatty_Ameさんからこの箱絵の画伯についての情報をご投稿いただきました。ありがとうございました。

「サンダーバードのプラモデルはイマイ模型製(現在は休業中のようですが・・・。)のも ので、箱絵(昨今はボックスアートなどと洒落た言い方もするようですが、やはりここで は時代的に箱絵という表現の方がしっくりくると思うのです。)の絵師は小松崎茂画伯で あったと記憶しています。同画伯の作品は本サイトでも既に述べられているとおり当時の 航空機や戦車、軍艦のプラモデルの多くで目にすることが出来、田宮模型製の戦車やエルエス(このメーカーは主に1/72の航空機で傑作を数多く世に出しており、我々模型少年 を随分と喜ばせてくれたものです。)、ニチモ(日本模型)の軍艦シリーズ等々の箱絵に 腕を揮っておられたその道の第一人者だったのです。

昭和40年代といえば、ウルトラマン、仮面ライダー、五色の色のヒーローことゴレンジャーといったヒーローが登場した年代です。いずれも現代っ子にも人気のキャラクターで我が子もはまりまくっています。いずれもヒーローにある人間が「変身」するのが特徴で、自分も「変身」すればヒーローになれるかもしれないという「なりきり」のアイテムが昨今もたくさん売られていて家の中で親もなりきって「対決」する事を要求されます。これがつらいのですが・・・。

 

鶴書房のSFシリーズは私のお宝です

 

角川文庫の眉村卓シリーズは古本屋でよく見かけます

 

昭和50年代といえば、NHKの午後6時頃やっていた学園SFドラマシリーズです。「謎の転校生」「時を書ける少女」「夕ばえ作戦」「暁はただ銀色」などです。ある日、クラスの友達が突然スーパーマンのようになってしまうというのがストーリーの共通点で、近未来的に自分もそうなれればいいなぁという願望が学園SFドラマシリーズをさらに魅力的なものにしていました。作家は眉村卓、筒井康孝、光瀬龍などで今も有名なSF作家のデビュー当時の傑作が多かった気がします。

 

学園のマドンナが突如超能力を身につけてしまった!

 

前後しますか昭和20−30年代のヒーローといえば江戸川乱歩の少年探偵、明智小五郎と小林少年でしょう。ポプラ社刊の少年探偵シリーズの表紙の絵や挿絵はその不気味さと冒険心をくすぐる雰囲気で少年の心をひきつけました。私の大好きな表紙は「青銅の魔人」の表紙で挿絵も含め少年探偵を象徴している傑作と思います。少年探偵の時代背景は戦後のどさくさの頃で我々が育った時代よりやや前の話でしたが、物が乏しくても心は豊かな生き方の素晴らしさを学んだためか「少年探偵世代」は戦後世代であるにもかかわらず戦後世代でない微妙な思考を持っていると思っています。おそらく「少年探偵世代」のご子息は、まさに少年探偵を読める世代になってきていることと思います。父親の愛読書として胸を張ってすすめてみてはいかがでしょう。

 

ポプラ社の少年探偵シリーズ

 

少年探偵の「宇宙怪人」のおどろおどろしい扉絵

 

勧善懲悪といえば野村故堂の「岩窟の大殿堂」を忘れてはなりません。スマトラおたまという盗賊を教授のご子息と書生(この響きがたまらない)の二人が追いかけるという典型的な勧善懲悪ものの冒険小説です。

 

野村故堂の「岩窟の大殿堂」は勧善懲悪の最たるもの